【書評】「夫婦関係調停条項作成マニュアル」
離婚事件では、離婚の可否はもちろん、親権者の定め、養育費・婚姻費用、面会交流、財産分野(どの財産をどのように分配するか)といった多岐に渡る争点があり、特に定型的でない処理をする場合に調停条項に反映させすることは難しいです。
色々と文献を探していたところ、小磯治「夫婦関係調停条項作成マニュアル」(民事法研究会)が非常に有用でした。
この本は、裁判所書記官で構成された離婚調停条項の実務研究での成果を反映したものです。条項作成を担う書記官による執筆というだけあって、細かい部分も含めて多様なパターンの条項例が掲載されており大変参考になります。
離婚事件における調停条項の大部分のパターンは本書で網羅されているのではないでしょうか。保全や執行についても解説されており、まさにかゆいところに目が届く構成になっています。
離婚事件における家裁での調停条項を検討する場合はもちろん、調停外で協議離婚する場合の合意書作成にあたっても大変有用な本です。