今年読んだ本で面白かったもの(法律書以外)
2020年まであとわずかになりました。
今年読んだ本の中で、特に個人的に面白かったものを備忘録を兼ねて挙げていきます。
・十字軍物語
文庫版をずっと待ち望んでいたシリーズ。十字軍側、イスラム側、更には商人といった様々なプレイヤー達を生き生きと描いており、とても面白く読むことができました。もちろん、史実とは異なる点や創作もあるのでしょうが、改めて十字軍への関心が深まりました。
・会計の世界史
会計を題材としつつも、全く難解ではなく、歴史上の人物や出来事に織り交ぜながら、複式簿記や減価償却、ファイナンスといった会計の重要トピックがどのような経緯で誕生したのかを知ることができます。会計というと、どこか機械的・形式的なイメージが強いですが、改めて生身の人間によって作り出されて時代と共に進化していくということを知ることができました。
・ハンニバル戦争
ハンニバル戦争とも呼ばれる第二次ポエニ戦争を、ローマのスキピオの視点から描いています。塩野七生さんの「ハンニバル戦記」では、ローマ・カルタゴどちらかに肩入れせず比較的淡々とした描写が多かったですが、本書はローマ側の立場から、登場人物の心情や戦場での生々しい描写が多く、臨場感を味わうことができました。
・哲学と宗教全史
哲学と宗教をテーマに、古代から現代まで、洋の東西を問わずヨーロッパ、イスラム、中国をカバーし、分かり易く解説してくれるという贅沢な一冊。 テクノロジーが幅を利かす時代だからこそ、知の原点ともいえる、哲学と宗教を学ぶことの意味を考えさせてくれました。
・ 「ついやってしまう」体験のつくりかた
スーパーマリオやドラゴンクエストといったゲームを題材に、どのように人を夢中にさせる仕掛けを作るのかを解説しています。何気なく遊んでいるゲームにこんな工夫があったのかと何度も驚かされました。 本の構成自体にも凝った仕掛けがいくつも施されており、それを探してみるのも楽しいです。
・事実はなぜ人の意見を変えられないのか
いくら論理的にデータに基づく説得を試みても、その人の考えを変えさせることはおろか、かえって元々の考えをより強固させることになってしまう・・・人を説得する、あるいは特定の行動を促すためにはどのようにアプローチすべきかを、脳の仕組みや各種の実験を踏まえて解説。人への関心・洞察を常に持つことの重要性を改めて知ることができました。
・伝え方大全
人間は論理よりも感情に動かされるので、いかに人の感情を揺さぶり、しっかりとしたストーリーのある形で伝えられるかが大事ということを学べた本でした。
・その証言、本当ですか?
精密かつ合理的なシステムとして理解されがちな刑事司法ですが、その一連の過程(取調べ、目撃証言等)における様々なバイアスや誤りを豊富な実例から実証。刑事司法による認定を無批判に受け入れることの恐ろしさを改めて知ることができました。