若手弁護士の情報法ブログ

某都市圏で開業している若手弁護士が日々の業務やニュースで感じたこと、業務において役に立つ書籍の紹介等を記していきます。情報法・パーソナルデータ関係の投稿が多いです。

プライバシーポリシーを自動解析するツール:Polisis

 

詳細かつ正確なプライバシーポリシーとユーザーの理解しやすさは反比例します。企業側として、リスクを極力減らし漏れがないようにすればするほど、長大で難解な文書となり理解は困難です。

ラベル形式にする、詳細説明用と簡易説明用の2種類のポリシーを用意するといった工夫をしている企業もありますが、やはり文書だけではわかりづらいことは否めません。

しかし、既に海外ではプライバシポリシーを自動的に解析するシステムが公開されていることを知り大きな衝撃を受けましたので、紹介します。

 

「Polisis」という名称で、スイスのローザンヌ連邦工科大学、ウィスコンシン大学ミシガン大学らの研究者からなるチームが作成したものです。HP(https://pribot.org/)にとぶと、「Polisis」と「PriBot」の2つのアイコンがあります。

 

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右側の「Polisis」がプライバシポリシー自動解析ツール、左側の「PriBot」がプライバシポリシーについて会話形式でやりとりができるチャットボットです。

 

 

「Polisis」では企業のプライバシーポリシーが掲載されているURLを貼付けると自動的に解析しビジュアル化してくれます。ためしにアップルのプライバシポリシーを読み込むと以下のような表示となりました。

 

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この表示された解析を元に、右にある「QUESTION」のボタンを押すと、チャットボットでプライバシーポリシーに関するやりとりができます。例えば、第三者提供に関する質問をすると、該当する記載を探しだしてきてくれます。

 

 

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これがあると、ユーザーとしては自分のデータがどのように扱われるか一目瞭然であり非常に分かり易いです。文書だけでの説明とでは圧倒的な差があります。

また、企業としては、難解なポリシーを作って、ユーザーの重要なデータをこっそり使うという姑息な手を使うことが難しくなります。その反面、ユーザーのパーソナルデータに対して真摯な取り組みをしている企業にとっては、逆にPolisisでの解析結果を積極的に開示することで自社の誠実さをアピールするという使い方もあるでしょう。

 

今のところ、英語の文書にしか対応していないようですが、日本でもプライバシーポリシーは大体同じような構造になっていることを考えると、いずれは日本でも同様のサービスが作られるのではないかと予想しています。