分かりやすい利用規約の例
本日の日経新聞の朝刊に、利用規約・プライバシーポリシーをユーザーに読まれやすくするための取り組みが特集されていました。
目指せ、読まれる利用規約 フェイスブック問題で注目 :日本経済新聞
慶應義塾大学SFCリーガルデザイン・ラボ、株式会社THE GUILDおよび弁護士ドットコムの三者で結成された「コントラクトギルド」による研究や、シェアリングエコノミー協会による認証制度等、最新の事例が分かりまとめられており大変参考になります。
この記事で紹介されていたシェアリングエコノミーの仲介サービスである「Anytimes」の利用規約を見てみました。
一見するとどこにでもある利用規約です。
しかし、どんどん下にスクロールしていくと「お客様にご注意いただきたいこと!」という記載が。
この部分は以下のことが記載されています。
**お客様にご注意いただきたいこと!
利用規約の第14条等で、当サイトでの禁止事項を定めさせていただいていますが、具体的には、以下のような行為については禁止されています(典型的なケースを挙げたもので、以下のような行為に限られるわけではありません。)。会員の皆様がこのような禁止事項を実施された場合、当社としては、会員登録を取り消すことがありますので、予めご了承ください。
- 食品衛生法及び都道府県条例の規定に違反する行為
- 通訳案内士の資格を有しない者が、有償で外国人向けに外国語で旅行に関する案内するサービスを提供する行為
- 医師、看護師、弁護士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、税理士などの資格を有しない者、または資格はあるが登録がない者が、有償でそれらの相談を行う行為
- 国土交通大臣の許可がない者が、自家用自動車を業として有償で貸し渡す行為
- 介護士の資格を有しない者が、訪問介護のサービスを提供する行為
- 著作権や商標権、肖像権などの権利を侵害する行為
- 異性との出会いを募集、あっせん、または誘導することが目的であると捉えられる内容を掲載する行為
- ナイトワークなどの求人情報、サービス情報を掲載する行為
- ネットワークビジネス、マルチ商法、MLMのメンバーを募集、勧誘する行為
- 反社会的なもの、または反社会的勢力に関連する可能性があると当社が判断した行為
ユーザーの大部分は利用規約をしっかりと読まず最後までスクロールして同意にクリックすることになります(「クリックトレーニング」とよばれることがあります)。
しかし、Anytimesの利用規約は一番下の部分に、典型的な禁止行為を取り上げて注意喚起をしており、そのメッセージ性やインパクトは大きいです。ユーザーがろくに利用規約を読まずにうっかり禁止行為に触れてしまうリスクが軽減され、トラブル防止につながり、運営側としてもメリットは大きいでしょう。
分かりやすい利用規約・プライバシーポリシーというと、アイコンを使ったりラベル形式にする、要約版を別途用意するといった工夫がありましたが、Anytimesのように特に重要な点を一番下の部分にまとめるという発想が面白く、大変参考になった次第です。