【書籍紹介】「小説医療裁判」:ストーリー仕立てで医療訴訟の流れが分かる
医療事件は専門訴訟の1つですが、患者側代理人として関わる場合は勉強すべき量が膨大であること、理論的にも難解で過失をどのように構成するかを十分詰めなければならない等、特に難易度が高い事件類型だと思います。
常時医療事件を抱えているような一部の弁護士を除いて、たまに医療事件(患者側)を行う弁護士にとっては、手探りで進めていかなければなりません。
本書は、若手弁護士が初めて医療事件を受任して訴訟提起し、尋問や鑑定を経て最終的に勝訴判決を得るという流れをストーリー仕立てにしたものです。著者が患者側代理人として経験豊富な弁護士というだけあって、比較的コンパクトな分量ながら、これを通読すると医療訴訟の流れを一通り理解することが可能です。
ルンバール事件最高裁判決の解釈など、医療事件の第一線で活躍されてきた著者ならでは鋭い分析が見られ、読んでいて飽きません。
医療事件を始めて担当する弁護士にとっては全体のイメージをつかむのによいでしょう。