書籍紹介 大野潔「企業法務に携わる弁護士が最初に読む本」
企業法務に関して多くの弁護士と接してきた著者(現在はコンサルティング会社を経営)が、弁護士の顧客に対するアプローチや営業の仕方に対してもっと改善する余地があると考えて、それを実現するためのノウハウを提供しています。
私が読んで特に参考になったのが以下の提案です。
・長文のメールは極力避け、先に結論を書き、リスクを提示する際にはリスクを極小化する方向についても書くこと
・会議を実施するときは法律事務所でではなく、弁護士の方が顧客のオフィスまで出向く
・顧客の業務に関連する法律改正や判決といったニュースを定期的に情報提供する。その際も大論文にはせず簡単な説明にすること
・顧客の方で論点を明示的に依頼されるより前の段階、すなわち何が論点なのかすら整理できていないという川上の状態から積極的に情報提供をして問題点を探ること
どれも顧客の立場からすれば当たり前のようですが、普段業務をしている中でつい忘れてしまいがちです。顧客目線で対応することの重要さに改めて気づかされました。供給過剰と言われて久しい弁護士業界でもまだまだ改善の余地があるということですね。
顧客満足のためにどのような工夫ができるだろうかを考えるきっかけを与えてくれた良い本です。