若手弁護士の情報法ブログ

某都市圏で開業している若手弁護士が日々の業務やニュースで感じたこと、業務において役に立つ書籍の紹介等を記していきます。情報法・パーソナルデータ関係の投稿が多いです。

裁判

家裁調査官の論文によるプライバシー侵害の損害賠償を否定した最高裁判決(最判令和2年10月9日)

家庭裁判所調査官が、自身が担当した少年事件を題材として論文を精神医学関係者向けの雑誌及び書籍に掲載した公表したことについて、当該少年が原告となり、①当該調査官、雑誌の出版社、書籍の出版社を被告としてプライバシー侵害等による損害賠償請求訴訟を…

【書評】「逆転勝利を呼ぶ弁護」

弁護士業務は、法令や裁判例を基盤として成り立つものです。案件を受任した際には、当該案件について先例となる裁判例をリサーチすることになります。 つい、裁判例は所与のものとして、その判決を獲得するために当事者や代理人がどのよう工夫や努力をしたの…

【書評】実務解説 行政訴訟

行政訴訟というと非常にハードルが高い印象があります。 個別の法令を読み込んで違法となる根拠を探し当てて主張立証していくことの難しさや労力もさることながら、更に行政訴訟特有の問題として訴訟類型のうちどれをとるべきか(取消訴訟か無効確認訴訟か、…

モバゲー利用規約差止判決(さいたま地裁R2.2.5判決)についての雑感

モバゲー利用規約についての一部差止判決、大きなニュースになっています。 www.nikkei.com 原告である埼玉消費者被害をなくす会にて、判決文がアップされています。 適格消費者団体 特定適格消費者団体 特定非営利活動法人 埼玉消費者被害をなくす会 これに…

事実認定と証明度について

弁護士業務において事実認定・立証の問題は不可避です。 訴訟の場では、代理人として、裁判官に依頼者に有利な事実が認定されるよう主張・立証を尽くします。 また、企業内の調査や第三者委員会等の立場で証拠を踏まえて不祥事等を事実認定しなければならな…

プライバシー侵害の評価に疑問がある判決(京都地判平成29年4月25日)

今年はGPS判決(最判平成29年3月15日)、グーグルへの検索結果削除請求の決定(最決平成29年1月31日)、ベネッセの個人情報流出の判決(最判平成29年10月23日)等、個人情報・プライバシーを巡る重要な判決・決定が相次いだ印象です。そ…

【書籍紹介】「認容事例にみる後遺障害等級判断の境界‐自賠責保険の認定と裁判例‐」

認容事例にみる後遺障害等級判断の境界?自賠責保険の認定と裁判例? 作者: 九石拓也,楠慶 出版社/メーカー: 新日本法規出版 発売日: 2015/06/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 交通事故事件における後遺障害の認定は永遠のテーマです。…

【書籍紹介】「小説医療裁判」:ストーリー仕立てで医療訴訟の流れが分かる

小説 医療裁判―ある野球少年の熱中症事件 作者: 小林洋二 出版社/メーカー: 法学書院 発売日: 2011/08/01 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 医療事件は専門訴訟の1つですが、患者側代理人として関わる場合は勉強すべき量が膨大であるこ…

書籍紹介 「文書提出命令の理論と実務」:文書提出命令に関する書籍の決定版

山本和彦他編集「文書提出命令の理論と実務」(民事法研究会) 文書提出命令の理論と実務 作者: 山本和彦,須藤典明,片山英二,伊藤尚 出版社/メーカー: 民事法研究会 発売日: 2016/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 学者、弁護士、裁判官らの…

書籍紹介 「事例からみる訴額算定の手引」:訴額計算に際しての必携書

小川英明他「三訂版 事例からみる訴額算定の手引」(新日本法規) 〔三訂版〕事例からみる訴額算定の手引 作者: 小川英明,宗宮英俊,佐藤裕義 出版社/メーカー: 新日本法規出版 発売日: 2015/06/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 訴訟を提起す…