若手弁護士の情報法ブログ

某都市圏で開業している若手弁護士が日々の業務やニュースで感じたこと、業務において役に立つ書籍の紹介等を記していきます。情報法・パーソナルデータ関係の投稿が多いです。

情報法

ITサービスの利用規約や契約書作成にあたって役立つ法律書

2022年ももうすぐ終わりですね。 今年も個人情報保護法や特商法等、様々な改正があり、対応に苦労されたという企業も多いのではないでしょうか。 今年はITサービス関係の利用規約やプライバシーポリシー作成やレビューのご依頼が複数件ありました。 その…

Eコマース実務対応(個人情報保護)に関するNBL記事の雑感

NBLの2021.9.15号に掲載されている、吉川昌平弁護士と上原拓也弁護士の「Eコマース実務対応(規約作成上の留意点等)第10回」個人情報保護に関する留意点(1)の記事を読みました。 https://www.shojihomu.co.jp/nbl/nbl-backnumbers/1202-nbl この連載は…

情報ネットワーク法学会研究大会・雑感

情報ネットワーク法学会・第20回研究大会に参加しました。 第20回情報ネットワーク法学会研究大会 (in-law.jp) 本日報告をお聞きしたのは、佃 貴弘「信認義務に依拠したプライバシーの再構築―専門家責任に基づく義務論として―」です。 大変興味深い内容だ…

家裁調査官の論文によるプライバシー侵害の損害賠償を否定した最高裁判決(最判令和2年10月9日)

家庭裁判所調査官が、自身が担当した少年事件を題材として論文を精神医学関係者向けの雑誌及び書籍に掲載した公表したことについて、当該少年が原告となり、①当該調査官、雑誌の出版社、書籍の出版社を被告としてプライバシー侵害等による損害賠償請求訴訟を…

家裁調査官の論文によるプライバシー侵害、国家賠償を認めた判決(東京高判平成30年3月22日、原審:東京地判平成29年2月13日)

10月9日、第2小法廷で判決が予定されている、個人的に要注目の事件です。 ※最高裁の開廷期日情報 最高裁判所開廷期日情報 | 裁判所 1 事案の概要 家庭裁判所調査官(便宜上「A」といいます。)が自身の担当した少年保護事件を題材として、精神医学雑誌…

モバゲー利用規約差止判決(さいたま地裁R2.2.5判決)についての雑感

モバゲー利用規約についての一部差止判決、大きなニュースになっています。 www.nikkei.com 原告である埼玉消費者被害をなくす会にて、判決文がアップされています。 適格消費者団体 特定適格消費者団体 特定非営利活動法人 埼玉消費者被害をなくす会 これに…

個人情報保護法制についての鈴木・山本対談記事を読んでの雑感

遅ればせながら、NBL2020.1.1号の鈴木正朝教授と山本龍彦教授の対談記事「個人情報保護法制のゆくえー憲法と個人情報保護」を読みました。 個人情報保護法制はどのようにあるべきかについて深い議論がされており大変勉強になりました。 以下、備…

【書籍紹介】松尾剛行、山田悠一郎「最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務(第2版)」

最新判例にみるインターネット上の名誉毀損の理論と実務 第2版 (勁草法律実務シリーズ) 作者: 松尾剛行,山田悠一郎 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2019/02/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る インターネット、特にSNSの発達によって誰し…

【書籍紹介】松尾剛行「AI・HRテック対応 人事労務情報管理の法律実務」

AI・HRテック対応 人事労務情報管理の法律実務 作者: 松尾剛行 出版社/メーカー: 弘文堂 発売日: 2019/01/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 本年1回…

【書籍紹介】「労働者のメンタルヘルスと法」

三柴丈典「労働者のメンタルヘルス情報と法」(法律文化社) 労働者のメンタルヘルス情報と法: 情報取扱い前提条件整備義務の構想 作者: 三柴丈典 出版社/メーカー: 法律文化社 発売日: 2018/06/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 企業がメン…

最近の情報法関係のガイドライン・報告書等

最近、主に官公庁から発行された情報法に関連するガイドラインや報告書、指針等をまとめてみました。 AI・データの利用に関する契約ガイドライン(経済産業省) 平成30年6月 データ編 http://www.meti.go.jp/press/2018/06/20180615001/20180615001-1.pdf AI…

ウェアラブル端末で従業員の行動を分析する場合のプライバシー上の問題点と対応

1 ウェアラブル端末の持つ可能性 矢野和男「データの見えざる手」(草思社文庫)という本を読了しました。 文庫 データの見えざる手:ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則 (草思社文庫) 作者: 矢野和男 出版社/メーカー: 草思社 発売日: 2018…

情報法関係で参考になった論文

板倉陽一郎「プライバシーに関する契約についての考察」 (1)http://alis.or.jp/img/issn2432-9649_vol1_p028.pdf (2)http://alis.or.jp/img/issn2432-9649_vol2_p067.pdf プライバシーポリシーや利用規約の法的性質を掘り下げて分析。個人情報保護法上の…

工夫されたプライバシーポリシー・利用規約の実例

ヤフージャパン プライバシーポリシーとは別に、「プライバシーガイド」のページを設けて、ビジュアルを使って個人情報の取り扱いについて記載されています。ビジュアルを使って分かりやすく解説されています。 Yahoo! JAPANプライバシーガイドYahoo! JAPAN…

分かりやすい利用規約の例

本日の日経新聞の朝刊に、利用規約・プライバシーポリシーをユーザーに読まれやすくするための取り組みが特集されていました。 目指せ、読まれる利用規約 フェイスブック問題で注目 :日本経済新聞 慶應義塾大学SFCリーガルデザイン・ラボ、株式会社THE GUIL…

【書籍紹介】「個人情報保護法の解説」:真打登場

園部逸夫・藤原靜雄編集、個人情報保護法制研究会著 「個人情報保護法の解説」(第二次改訂版) ぎょうせいオンライン / 個人情報保護法の解説 第二次改訂版 改正個人情報保護法に関する膨大な数の書籍が出ている中、満を持して立法担当者による逐条解説が出…

1月に読んだ主な書籍のまとめ

今日で1月も終わりです。今月に読んだ主な本を、備忘を兼ねて簡単にまとめておきます(法律書以外もあります)。 士業を極める技術 (すべての案件を高額報酬に変える「高難度業務」) 作者: 横須賀輝尚,菰田泰隆 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセ…

今年参考になった情報法関係の書籍の紹介

今年も残すところあとわずかになりました。 今年は情報法関係で色々と本を読みましたが、豊作の年で、私自身非常に勉強になりました。 備忘録も兼ねて、今年読んだ情報法関係の書籍でおすすめのものを紹介いたします。 1.水野祐「法のデザイン」 法のデザイ…

プライバシーポリシーの戦略的な活用の仕方を考えてみる

プライバシーポリシーの作成は労多くして利益少ない? 中小企業を含め、多くの企業がプライバシーポリシー(「個人情報保護指針」「個人情報取扱指針」等の名称が使われることもあります)を作成し、主にホームページ上で公表していると思われます。 私もク…

【書籍紹介】AIがつなげる社会‐AIネットワーク時代の法・政策

福田雅樹他「AIがつなげる社会‐AIネットワーク自体の法・政策」(弘文堂) AIがつなげる社会--AIネットワーク時代の法・政策 作者: 福田雅樹,林秀弥,成原慧 出版社/メーカー: 弘文堂 発売日: 2017/11/09 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含…

最近の情報法・個人情報保護法制関係の論稿紹介

改正個人情報保護法が5月30日に全面施行されたというタイミングもあってか、情報法・個人情報保護法制に関する先端的な議論がされている論稿が多く目につくようになりました。 いくつかご紹介します。 NBL・1100号(2017・6月) https://www.…

【書籍紹介】松尾陽他「アーキテクチャと法」

松尾陽他「アーキテクチャと法‐法学のアーキテクチュアルな転回?」(弘文堂) アーキテクチャと法―法学のアーキテクチュアルな転回? 作者: 松尾陽 出版社/メーカー: 弘文堂 発売日: 2017/02/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 近時、法学の分…

書籍紹介 水野佑「法のデザイン」

水野佑「法のデザイン」(フィルムアート社) 法のデザイン?創造性とイノベーションは法によって加速する 作者: 水野祐 出版社/メーカー: フィルムアート社 発売日: 2017/02/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る クリエ…