書籍紹介 「実務解説遺言執行」:遺言執行をする際の必携書
NPO法人遺言・相続リーガルネットワーク編著「実務解説 遺言執行」(日本加除出版)
遺言執行者としての職務を解説している本です。
遺言執行者は責任が重大であり、懲戒事例も多いだけに弁護士としては相当慎重に進めていかなければなりません。
この本は、遺言執行者に就職する以前の遺言書の有効性の判断方法の解説にはじまり、就職から職務終了まで具体的にどのように職務を進めていけばよいのかを時系列に沿って丁寧かつ分かりやすく解説してくれています。
遺言の類型ごとに遺言執行者が当事者適格を有する場合と有しない場合のまとめや、遺言執行者として職務をした際の懲戒事例も掲載しており、痒い所に手が届く内容です。
遺言執行者として職務を進めていく際の必携書といえます。
書籍紹介 弁護士の周辺学:弁護士業務に役立つ隣接分野の解説書
高中俊彦他「弁護士の周辺学」(ぎょうせい)
弁護士の周辺学 実務のための税務・会計・登記・戸籍の基礎知識 (東弁協叢書)
- 作者: ?中正彦,市川充,堀川裕美,西田弥代,関理秀
- 出版社/メーカー: ぎょうせい
- 発売日: 2015/08/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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弁護士として仕事していく中で、司法試験で学んだ法律以外の他分野の知識が必要なことはままあります。
例えば、登記の読み方が分からなければ不動産の事件を扱うことはできませんし、企業法務や法人破産を扱う際に決算書を読むことができるスキルは必須です。
本書では、税務、会計、登記、戸籍といった弁護士業務において欠かすことができない隣接分野の知識やノウハウを分かりやすく解説してくれています。
どちらかというと新人向けだと思いますが、ある程度経験のある弁護士にとっても、知識を体系的に整理するためにも有用でしょう。
新人のときにこんな本が欲しかったです!
書籍紹介 「平成27年度研修版 現代法律実務の諸問題」
日本弁護士連合会「日弁連研修業書 現代法律実務の諸問題<平成27年度研修版>」
弁護士会がその年に実施した夏期研修で実施した各研修の講演録やレジュメ・資料をまとめた本です。
この平成27年度版で私が特に参考になったと感じたのが、藤田晶子弁護士による「商標法に関する実務上の留意点」と、山田知司裁判官による「控訴審の審理と主張立証のあり方」です。
特に後者については、講演の内容もさることながら、巻末に控訴の趣意の正しい記載の仕方についてまとめた図表も添付されています。これは、全部棄却の場合、一部認容の場合、原告複数で特定の原告のみ控訴した場合などの様々なパターンごとに、控訴の趣旨の記載でありがちな間違いも併記して正しい記載を書いてくれています。控訴は判決送達後翌日から2週間以内に提起しなければならず、スケジュール的にタイトであることから、このような記載の仕方を図示してくれるのは非常にありがたく、控訴する際には重宝することになるでしょう。
書籍紹介 「事例からみる訴額算定の手引」:訴額計算に際しての必携書
小川英明他「三訂版 事例からみる訴額算定の手引」(新日本法規)
訴訟を提起する場合に裁判所に納める収入印紙の額を計算するためには、訴額を算定しなければなりません。
損害賠償請求や貸金返還請求といった金銭請求であれば金額は明確で訴額算定も容易なのですが、それ以外の類型では、そもそも訴額をどのように計算するか悩むことも多いです。
この本は、訴額算定の基礎理論の解説から始まり、具体的な訴訟の類型ごとにどのように訴額を算定すべきか、分かりやすくまとめられています。
先日、こちらが遺留分減殺請求訴訟を提起する際にもこの本は大変役に立ちました。
私が知る限り、訴額計算について最も網羅的にまとめられている本だと思います。
訴額計算における必携の本でしょう。